Newton:カンブリア爆発
Newton (ニュートン) 2007年 05月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ニュートンプレス
- 発売日: 2007/03/26
- メディア: 雑誌
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カンブリア爆発ってのは,カンブリア紀以前までは3門しか生物種が存在しなかった(と思われている)のにカンブリア紀に入った途端に1000万年くらいの短期間で目やとげや殻などをもった複雑な生物が大量発生したという事件をいいます.
この時すでに現在の分類における全て(たしか59門)の生物種が誕生したらしいです.
それでなんでこんな短期間で生物が爆発的に進化したのかということについての様々な仮説について書いてありました.
重要な部分を抜粋すると
- カンブリア紀に入って生物間に捕食者/非捕食者という関係が出来上がった.カンブリア紀以前は海底の有機物などを摂取していて他の生物を捕食するということはなかった.
- カンブリア紀以前の軟体動物があるとき目を手にいれ,そこから生存競走が始まったのではないか.
- カンブリア紀にはとげや殻などの材料となるリンなどの物質が増えた.
あたりでしょうか.生存競走というのはやはり一つのキーワードでしょう.殻や刺を手にした生物が大量に発生したのは生存競走において有利だったからという考えは自分もそうだと思います.
しかし,一番決定的なのは3つめの理由ではないかと思います.
よく「突然変異によって発生した個体が生存競走に勝つことで進化が起こる」と説明されることがあります.もちろん突然変異というのも重要な役割を果たしていると思いますが,ちょっと冷静に考えてみましょう.
- 一回の突然変異でものすごく大きな飛躍がおこるとは考えにくい.(例えば三葉虫はかなり精密な複眼を持っていたらしいですが,それは突然変異で突然できたものではなくて徐々に形が出来上がったものだと考えるのが自然です)
- 突然変異で数個体の生存能力の高い生物が生まれたとして,果たしてそれが進化を引き起こし得るのか?
つまりですね,例えば百万個体の中に百個体突然変異体がいたとして,それが生存競走に勝って後に残っていくのかということです.
もし百万人の中に百人突然変異でスーパーマンが生まれるくらいの劇的な変化が起こるなら,1万年後にはみんなスーパーマンになってそうな気もしますが,ちょっと強いだけの個体が生まれても他の大量の普通の個体に紛れて消えていくと考えるのが普通だと思います.
結局密度が大事なのです.百万個体の中に十万個体突然変異体が生まれるくらい変異体が高密度で発生しなければ,それらが後に残っていくことはないと思うのです.
Newtonにも書いてありましたが,遺伝子がほとんど同じでも環境によって発生する生物が異なってくるらしいです.
環境の変化がきっかけとなって大量の変異体が同時期に発生し,その後の生存競走により加速度的に進化をしてきたのだと思います.
ということでやっぱ環境って大事だよねと.
ライフゲームみたいな単純なオートマトンでこういった事を考えたものがありそう.遊んでみたいなぁ.