ライフゲイムの宇宙
ひたすらライフゲームについての本。大学の図書館で発見して読んでみたらこれがめちゃめちゃ面白い!ただのゲームだとあなどってはいけません。
- 作者: ウィリアム・パウンドストーン,William Poundstone,有澤誠
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2003/06/12
- メディア: 単行本
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要点を絞って紹介すると
- ライフゲームの世界は独自の物理法則を持った一つの宇宙のモデルとして考えられる
- ライフゲームの世界には
- 「ブロック」や「イーター」等のずっと形を変えない固定物体が存在する
- 「ブリンカー」や「交通信号」等の一定周期で同じ形を繰り返す振動子が存在する
- 「グライダー」や「宇宙船」のように形を変えずに移動できる物体が存在する
- こういった物体は他の物体に比べ安定して数多く存在する確率が高い
等といった事の紹介。そして、これらよりさらに安定な物体が存在するか?という興味がわきますが、
実際に
- 「グライダー銃」の様に同じパターンを永遠に生成する物体
- 「シュッポッポ列車」の様な周期的パターンを生成しながら移動できる物体
- 「ブリーダー」の様に指数関数的にパターンを増殖させることのできる物体
等が存在する事が示され、最後に
- 万能計算機(コンピュータ)や自己複製機械
がライフゲームの宇宙に存在する事が示されます。グライダー銃やイーターやブロックなどの基本的な部品だけでANDゲートやORゲートを構築できるってのは正直驚きました。
この本に書かれている内容は結局
単純な物理法則とある初期状態のみから様々な構造が発生し最終的には生命が発生するか?
という事ですが
- 自己複製機械などの構造はとてつもなく低い確率でしか発生しない。しかし、一度どこかで発生するとそれらは急激に増殖していく。
- これらは散らばっている固定物体や振動子などのごみと相互作用しその構造を変えていく。(突然変異・進化がおこる)
- 最終的にはごみと相互作用しても消滅せず安定な構造やごみを自ら攻撃し片付けられる様な構造などが生き残る(自然淘汰がおこる)
と言った考えに至っています。ライフゲームの世界は物理法則が単純過ぎるのでたぶんライフゲームの中に発生する生命を観測することは不可能ですが、理論的にはひたすら空間を広げていけば発生する可能性があるということを示唆したわけです。
人間の脳はライフゲームの世界と違って閉じていない世界ですし、単純に数を多くすればなんとかなると帰結することはできませんが、いろんな面で類似点があるように思います。
とにかく面白い本です。
グライダー銃
下の画像は左の「13個のグライダー」のみから、右の「グライダーを無限に生成するグライダー銃」ができあがるパターンです。つまり有限個のグライダーが無限個のグライダーに増殖するパターンですね。
この様にライフゲームの世界では万能計算機も自己複製機械もほとんど全ての物体がグライダーのみからつくり出すことができるそうです。
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